親の介護費用、いくらかかる?在宅・施設の目安と介護保険の仕組みを調べた

テーブルで書類を確認している50代女性のイラスト 親の介護と暮らしの備え

「介護が始まったら、お金はどのくらいかかるんだろう」

——親の体調が気になり始めたとき、そう不安になった方は多いのではないかと思います。

私もそうでした。介護保険で全部カバーされると思っていたら、まったくそうではなかったり、施設に入るとなると月額が想像以上だったり。調べれば調べるほど「人によって違いすぎる」と感じました。

この記事では、在宅介護と施設介護それぞれでかかる費用の目安と、介護保険の自己負担を決める仕組みを家族目線で整理しています。

費用は要介護度・所得・利用するサービスによって大きく異なります。この記事は「おおよそのイメージをつかむ」ための参考としてお読みいただき、具体的な金額は担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご確認ください。

介護費用の全体像:大きく2種類に分かれる

介護にかかる費用は、大きく「介護保険サービスにかかる費用」と「介護保険が使えない費用」に分かれます。

介護保険サービスは、訪問介護・デイサービス・施設入所など、介護保険が適用されるものです。利用者は費用の1〜3割を自己負担し、残りは介護保険から支払われます。

一方、介護保険が使えない費用もあります。おむつ代・食費・日用品・移動交通費・住宅のリフォーム費用(一部は助成あり)などは、全額自己負担になる場合があります。

「介護保険があるから安心」と思っていると、自費部分の出費に驚くことがあります。両方を合わせてイメージしておくことが大切です。

介護保険の自己負担割合はどう決まるか

介護保険サービスの自己負担は、原則1割です。ただし所得が一定以上の方は2割または3割負担になります。

要介護(要支援)認定を受けると交付される負担割合証には、自己負担割合が記載されています。負担割合証は、毎年、前年の所得等をもとに判定され、8月1日から翌年7月31日までの期間で切り替わります。自己負担割合が変わる場合もあるため、手元の負担割合証を確認しておきましょう。

介護保険サービスで使える上限の目安「区分支給限度額」

介護保険サービスを利用するときは、要介護度ごとに「区分支給限度額(区分支給限度基準額)」という1か月あたりの上限が決められています。

これは、介護保険を使って利用できるサービス量の目安になるものです。要介護度が上がるほど区分支給限度額は高くなり、利用できるサービス量も増えます。

区分支給限度額は、主に訪問介護・デイサービス・ショートステイ・福祉用具貸与などの居宅サービスや地域密着型サービスを利用するときに関係します。一方で、施設サービスや一部の居住系サービスなど、区分支給限度額の考え方がそのまま当てはまらないサービスもあります。

また、サービスの種類によっては、要介護度に応じて基本単位数が変わります。そのため、同じような利用回数でも、要介護度や利用するサービス内容によって自己負担額が変わる場合があります。

要介護度 区分支給限度額 1割負担の目安
(1単位=10円の場合)
2割負担の目安
(1単位=10円の場合)
3割負担の目安
(1単位=10円の場合)
要支援1 5,032単位 約5,032円 約10,064円 約15,096円
要支援2 10,531単位 約10,531円 約21,062円 約31,593円
要介護1 16,765単位 約16,765円 約33,530円 約50,295円
要介護2 19,705単位 約19,705円 約39,410円 約59,115円
要介護3 27,048単位 約27,048円 約54,096円 約81,144円
要介護4 30,938単位 約30,938円 約61,876円 約92,814円
要介護5 36,217単位 約36,217円 約72,434円 約108,651円

※上記は1単位=10円で計算した場合の目安です。実際の金額は、地域やサービスの種類によって異なります。

ただし、区分支給限度額は「介護にかかるお金すべての上限」ではありません。おむつ代・食費・日用品費・交通費など、介護保険の対象外になる費用は別にかかります。

費用が不安な場合は、サービスを利用する前に「月の自己負担額はどのくらいになりそうか」をケアマネジャーに確認しておくと安心です。

在宅介護でかかる費用の目安

在宅介護の場合、介護保険サービスの自己負担額は、利用するサービスの種類や回数によって変わります。所得が標準的な方(1割負担)の場合、月の自己負担は数千円〜数万円程度になることが多いとされています。

ただし、実際の費用はサービスの種類・利用回数・利用時間・加算の有無などによって変わります。サービス内容が変わると自己負担額も変わるため、利用前に月額の目安を確認しておくと安心です。

在宅介護でかかる主な費用の種類

費用の種類 介護保険の扱い 備考
訪問介護・デイサービスなどの利用料 1〜3割負担 要介護度・利用回数で変わる
福祉用具レンタル(車いす・ベッドなど) 1〜3割負担 対象品目に条件あり
住宅改修費(手すり設置・段差解消など) 支給限度基準額20万円。自己負担は1〜3割 原則として工事前の申請が必要。対象工事に条件あり
おむつ・介護食・日用品 対象外(全額自己負担) 自治体の補助がある場合も
食費・日常生活費 原則自己負担 施設利用時は施設ごとに異なる

上記の金額・条件は変わる可能性があります。最新情報は担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険窓口でご確認ください。

月の自己負担が増えすぎたときの「高額介護サービス費」

介護保険サービスの自己負担が一定の上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻される「高額介護サービス費」という制度があります。所得によって上限額が異なります。

該当する場合は、お住まいの自治体から申請の案内が届きますので、見逃さないようにしましょう。

なお、高額介護サービス費の対象になるのは、主に介護保険サービスの自己負担分です。食費・居住費・日用品費などは対象外になる場合があるため、「月額費用すべてに上限がある」と考えないよう注意が必要です。

施設介護でかかる費用の目安

施設入所の場合、月額の費用は施設の種類によって大きく異なります。特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームでは、月額の水準がかなり違います。

主な施設の種類と費用のイメージ

施設の種類 月額費用の目安 特徴
特別養護老人ホーム(特養) 数万円〜十数万円程度 原則として要介護3以上が対象。入所希望者が多く、地域によっては待機が長くなることも
介護老人保健施設(老健) 数万円〜十数万円程度 リハビリを中心とした施設。在宅復帰を目指す方向け
グループホーム 十数万円程度 認知症の方向けの小規模施設。共同生活を送ることで自立した生活を目指す
住宅型有料老人ホーム 十数万円〜数十万円程度 介護サービスは外部と別契約。施設によって費用差が大きい
介護付き有料老人ホーム 十数万円〜数十万円以上 介護サービスが施設に含まれる。設備・環境によって差が大きい

上記はあくまでイメージです。実際の費用は施設・地域・居室タイプ・所得などによって大きく異なります。見学や資料請求で必ず確認してください。

特養や老健などの介護保険施設、またショートステイ(短期入所)では、所得や預貯金等の条件により「負担限度額認定」の対象となり、食費・居住費の負担が軽減される場合があります。対象になるかどうかは世帯の課税状況や本人の収入・資産状況などで変わるため、市区町村の介護保険窓口で確認してください。

事前に確認しておきたいお金のこと

「介護が始まってから慌てた」という声をよく聞きます。余裕のあるうちに確認しておくと、いざというときに選択肢が広がります。

  • 親の年金額・貯蓄のおおまかな把握(介護費用に充てられる目安として)
  • 生命保険・医療保険の内容確認(介護特約・認知症保障が含まれているか)
  • 兄弟姉妹間で費用負担の考え方を話し合っておく
  • 担当のケアマネジャーに、現在の要介護度で使えるサービスと費用感を聞いておく
  • 高額介護サービス費・負担限度額認定など、軽減制度の申請漏れがないか確認する

お金の話は切り出しにくいですが、ケアマネジャーや地域包括支援センターは費用の相談にも応じてくれます。「具体的にいくらかかりそうか」を一度聞いてみるだけでも、不安が整理されることがあります。

介護費用に関する確認チェックリスト

  • 親の介護保険証と負担割合証を確認したか
  • 現在の要介護度と、月の区分支給限度額を把握しているか
  • 高額介護サービス費の対象になりそうな場合、申請方法を確認したか
  • 施設入所を検討する場合、負担限度額認定の対象かどうか確認したか
  • 親の年金・貯蓄のおおよその状況を把握しているか
  • 生命保険・医療保険に介護に関する特約があるか確認したか
  • 費用について家族間で話し合いをしたか、または予定があるか

まとめ

介護費用は「在宅か施設か」「要介護度」「所得」「利用するサービス」によって、人によって大きく違います。正確な金額は事前には出しにくいものの、おおよそのイメージと仕組みを知っておくだけで、心の準備が変わります。

介護保険には、高額介護サービス費や負担限度額認定など、利用者の負担を軽くするための制度があります。「申請していなかった」ということのないよう、担当のケアマネジャーか市区町村の窓口に一度確認しておくことをおすすめします。

まず一つだけやってみるとしたら——「親の介護保険証と負担割合証を確認する」か「ケアマネジャーに今月の費用の目安を聞いてみる」、どちらかだけでも十分です。

※この記事の制度・費用に関する情報は記事作成時点のものです。内容は変更になることがあるため、最新情報は必ずお住まいの自治体・担当ケアマネジャー・各事業所でご確認ください。

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